「サルスベリ」樹木という記憶装置

サルスベリを初めて見たのは実家の隣りの祖母の庭で、これは名前どおりツルツルして猿が登りにくそうだなと感じた木の幹の肌が印象的だった。
実際抱きついたけど登るどころか抱きつき続けることも無理だった。

東京に住んで街路樹があちこち植わっていて その充実っぷりにも感激したけど、庭のイメージが濃かったあの木の 細身のサルスベリが街路樹として植えられている地域がたくさんあることに驚いた。

あるお盆の日に一つのサルスベリの花があまりに鮮やかな色だったので、いい色ですね〜って心の中で言ってるつもりだったのだけど、突然後ろから返事みたいなタイミングで 「きれいな色にでましたね」っておばあさんの声が返ってきた。ほんとにあの世のお婆さんの声がとうとう耳からリアルに聞こえるようになったのか!?ってくらいビクっとなった。

しかし声の方を振り返ると そこには幼い自分の思い出の中の庭にいた祖母のような年頃の方がいて、ここでも更にこんなにリアルに見えるようになったんか!?オドオドするけど、ちゃんと別人のおばあちゃんだよ。

結局なんだかんだ花の感想を語り合って去って行った。

祖母は高校時代に亡くなったので、そのほとんどは大昔のこと。普段ほとんど言葉を発しない彼女が大切にしていた庭が心地よかったり、一晩だけ咲く月下美人が咲くよって時だけ呼ばれたり(結構ドライな方だと思う)そこに居るだけで間接的にそれを大切にされていると感じたり、共になにかを愛でていたそんな記憶が ずっと先の未来に同じ植物だったり樹木の仲間に再会すると蘇って優しい気持ちになったり、見えないなにかに守られているような気持ちにもなる。

樹木を育てるというのは、今誰かをもてなしたりするのにももちろん役に立つけれど、星の光のようにここで発した光を身近な人の未来にも届けることも可能にしてくれている。

そんな過去からのおくりものに描いたり形にすることで 何か少しでもそれに応えられているかどうか。。どかなあ~

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8/26-29 marumocci [ Tokyo Tree Land ]
■期間:2022年8月26日(金)ー29日(月)
■時間:8/26 13:00- 19:00 8/27,28 11:00-20:00 8/29 11:00-19:00
■会場:デザインフェスタギャラリー原宿 WEST 1-C
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目20−18
■ギャラリーアクセス方法:https://designfestagallery.com/access/
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