オーダー作品を作っているとご注文下さったかたの
神話を映像で見ているような気持ちになる。
染めて絵を描いてという作業は私なりの表現なのだけど、
オーダーしてくださる方に出会ってなければ
見えてない風景なんじゃないかなと思う。
先日のオーダーパーカーを製作していた時は
「庭」が鍵となる景色として出てきた。
それであれこれ庭に思いをはせてました。
私は住宅地の家を眺めながら歩くのが好きですが、
近所の家を見ながら歩いて見ると
ほんとに手入れされている庭が多い。
園芸のプロの手による家も多いのだけど、
お家の方がゆっくりやっているところもある。
それが全部その家らしさになってる。
あるお家にホッソリした小さな門かぶりの松
(本来ならごっつい松がかかるはずが門の上に
長ーい枝がかかってる感じ・・・)があって
聞いてみたらご夫婦が2、30年前に北海道を旅した時に
買ってきた苗を育ててここまで来たのだそう。
それでもまだこのくらいなのか・・・とちょっと途方にくれそう。
この庭にはそういう思い出がいっぱい詰まってそうだった。
そしてある時は道端で園芸店の方と住人の方が話していて
「あの家の人はそこに木があるってことが
見えてないんだっプンスカッ(←最後脚色)」
庭木を全然手入れしない家の人の文句を言ってるのを小耳にして
ほほえましくなってしまった。
庭は手間も年月もあれだけかけて
自分が亡き後や手放したりした後
家族や誰か別の人が引き継いでいくのだろうか
その辺も予想がつかないまんまに
庭を持つとか楽しむってことは
今楽しんだ時間の連続の結晶みたいなものを
そのまんまどこの誰にどう伝わっていくのか
分らない未来の人へタイムカプセルのような
贈り物を作っているみたいだ。